代表理事挨拶

代表理事 森村 尚登

 2025年6月19日に日本臨床救急医学会代表理事に就任いたしました。

 本学会は、救急医療に携わる全ての職種が一堂に介する本邦唯一の団体であり、開設以来約30年にわたり、学術集会や機関誌、論文、図書、研究資料の刊行を以て、救急医学・救急医療の進歩、発展、普及に努めてきました。

 翻って医療の原点は救急にあると思っております。その質の向上を図るためには、今何が問題で、何を課題とすべきかについて認識し、社会全体で共有したうえで対策を立てていく必要があります。そこで今回の就任に際し、3つの視点で課題を整理し、学会員のみなさまとともに解決に向けた知見を発信していきたいと思います。

 第一に、地域の救急医療体制の枠組みについてです。地場産業とも比喩されるようにさまざまな地域特性があるなかで、モデルとなる試みを広く共有できる場を提供し、初期・二次・三次救急医療体制の先の新しい類型を模索し、各地域の課題解決に寄与していきたいと思います。

 第二に、救急患者さんに対する院内の診療科連携体制についてです。地域における病院の類型を問わず求められる体制は同じですが、連携の取り方は多様です。最も効率的な連携に係る知見を集めて、発信していきたいと思います。

 第三に、従前の職種に近年新たに作られた資格や職域の拡大を踏まえた、院内救急診療の関連職種連携ならびにそれを実践するための研修・教育体制についての知見を結集し、広く発信していきたいと思います。

 以上の視点を基に、本学会が今まで長年にわたって培ってきた多くの研修・教育コースの展開を継続しながら、従来の学術集会や刊行物に加えて、ホームページをさらに活用して、学会報告や特別講演のアーカイブの閲覧を常時可能にしたり、フォーラムや講演、座談会など多く企画したりする予定です。それではどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

-原点回帰。知的好奇心と探究心を満たす学会を目指して。

(2025年6月)